PEANUTS

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コラム COLUMN

新装版「スヌーピーと、いつもいっしょに」

2026.05.01

2015年に出版され愛されてきた『スヌーピーと、いつもいっしょに』。

2026年2月、コミック誕生75周年を記念した新装版として、あらためて刊行されました。

知っているようで、初めて出会う、シュルツさんのこと

内気で、不器用で、思うようにいかない時間を重ねながら、それでも「ピーナッツ」コミックを描き続けた日々。

作者チャールズ・M・シュルツさんの人生を、丁寧にたどる一冊です。

思わず手に取りたくなる、新しい装い♪

まずは「新装版」の装いを拝見しましょう。

初版にも採用されていた、ドッグハウスの上に寝そべるシュルツさんと、フライング・エースのスヌーピー。

なんとも微笑ましいこの水彩画は、シュルツさんによる自画像です。

新装版にはその下に、パタパタと羽ばたくウッドストックの姿も。

何かすてきなことを伝えにきてくれたような、にこやかな表情♪

そんなウッドストックがかくれんぼするようにかぶせられた、ブルーの帯にも注目です。

スヌーピーと、いつもいっしょに 新装版
PEANUTSを生んだチャールズ・シュルツの物語

マイケル・A・シューマン(著)/ 小松原宏子(訳)
(Gakken) 価格:1,650円

スヌーピーにウッドストック、チャーリー・ブラウンにサリー、ルーシー、ライナスが並んで歩いています。

背表紙はこんな感じ。

本棚に並んでいてもパッと目を引き、思わず手を伸ばしたくなりますね。

裏表紙もかわいいのでご覧ください♪

表紙ではその場所をシュルツさんに譲っていたスヌーピーが、悠々と寝そべっています。

『世界中で愛されるキャラクターを生んだのは、ある「内気な青年」だった―。』

帯に添えられた「内気な青年」の一言。

大きなことを成し遂げたシュルツさんにも、いろいろな人生のドラマがあったのかな。

中身が気になりますね♪

さっそくページをめくっていきましょう。

ページをめくると、見えてくるもの

まず心を奪われるのが、作品を手に微笑む、シュルツさんのやさしい横顔。

およそ50年にも渡り、たったひとりで「ピーナッツ」コミックを描き続け、世界中で愛されるキャラクターをたくさん生み出してきました。

ご存知、チャーリー・ブラウンやスヌーピーをはじめとする個性豊かな面々。

カラフルな相関図に見るピーナッツ・ギャングは、それぞれに誕生までのエピソードがあり、そのひとつひとつにシュルツさんの思いが込められています。

別のページはパパやママ、きょうだいたちのことも描かれています。

パパやママのこと、初めて見たという方もいらっしゃるのではないでしょうか♪

スパイクの説明には「ニードルズ近辺のさばくに住む」とあります。

それってどこ?と思った方は、ぜひこちらのページを。

「ニードルズ」がどこにあるかもわかりますね。

文中に登場する主な地名には「★」印が付いていて、シュルツさんがどんな土地で過ごしてきたのかを、この地図でたどることができます。

そのひとつひとつが、キャラクターの誕生や、物語にまつわるエピソードの背景として見えてくることもあります。

同じように、文中には「♥」の印も。

チャーリー・ブラウンはわかるけど、改めてパティってどんな子だろう。

そんなときにはこちらのページに戻ると……。

あ、あそこにいた♪

チャーリー・ブラウンの幼なじみとして、バイオレットもいっしょに紹介されています。

ページを行ったり来たりしているうちに、いつのまにかキャラクターのことにも、うんと詳しくなっているかも。

さらに、多くの漢字にはふりがなが付いていて、気になる言葉には丁寧な解説も添えられています。

小学校高学年くらいのお子さんから、おひとりでもどんどん読み進められそう。

シュルツさんや「ピーナッツ」コミックのことにとどまらず、新しい言葉との出会いも広がっていきますね。

シュルツさんを知ると、「ピーナッツ」コミックがもっと好きになる

本作では、幼い頃から晩年まで、シュルツさんの歩みが全10章で構成されています。

シュルツさんの「スパーキー」というニックネームの由来や、いつ頃から絵の才能が開花したのか、そして、それを活かす時がいつ訪れたのか。

スヌーピーを生み出すヒントになった飼い犬「スパイク」にまつわるお話なども紹介されています。

落ちこぼれたり、友だちがうまくできなかったり、劣等感を抱えながら過ごしていた青年が、大好きな絵を描き続けていく中で少しずつ道が開けていく過程が、とても丁寧に綴られています。

のちに世界的なまんが家となったシュルツさんにも、そんな時代があったのだと、ふと親しみを覚えます。

育ってきた生活環境や、やってもやってもうまくいかない経験、抱えていた劣等感などなど。

シュルツさんが毎日の暮らしの中で感じてきたことが、コミックのシーンやキャラクターに反映されています。

誰しもが、どこかで共感を覚えるシーンの数々は、徐々に世界中の人々の心をつかみ、絵本やアニメーションなどへと広がってきました。

歩みを止めないシュルツさんは、「まんがもまんが家も、成長が必要」とコミックに新しい仲間を登場させていきます。

例えば、ペパーミント パティもそのひとり。

チャーリー・ブラウンに片思いをしながらも、野球ではしっかりとライバルになれる、まっすぐで明るいペパーミント パティ。

実は、彼女をはじめとするキャラクターたちには、それぞれに時代の空気がそっと映し出されていることがあります。

シュルツさんは、変わっていく社会の中で感じていたことを、物語の中に、自然に織り込んでいきました。

そこに、スヌーピーの空想の世界から生まれたフライング・エースやジョー・クールといった存在も加わり……。

「ピーナッツ」コミックは50年の間でさまざまな変化を重ねながら、より自由に、のびのびと広がりを見せていきました。

シュルツさんの想いやストーリーの背景を知れば知るほど、スヌーピーやピーナッツ・ギャングの存在が、より身近に感じられるようになりました。

心に残る、大切な一冊に

すべてを読み終えて、改めて巻末の年表を見ると、「スパーキー」ことシュルツさんと一緒に、この時代を振り返っているような気持ちに。

同じ時代を生きてきたわけではないけれど、なんだかずっと一緒にいたような気分。

個人的に心に残ったのは、幼稚園の先生に絵を褒められた喜びが、生涯大切な心の宝になっていた、ということ。

わたしはもう、絵が上手な子どもにはなれないけれど、誰かの良いところを見つけて言葉をかける大人にはなれる!

そう思ったら、なんだかワクワクしてきました♪

本の中には、コミックに登場した心に残る名言を集めたページもあり……。

改めてコミックを読み返して、たくさんの言葉に出会いたくなりました。

晩年まで執筆活動をつづけた、カリフォルニア州のサンタローザにある「チャールズ・M・シュルツミュージアム」の紹介も。

スヌーピー好きの聖地とも言える、憧れの場所です♪

そして、そんな「チャールズ・M・シュルツ・ミュージアム」の理事長も務める、シュルツさんの奥さま、ジーン・シュルツさんによるメッセージが、巻末に掲載されています。

日本のファンのみなさんに届けられた、新装版に寄せた特別なメッセージ。

表紙に描かれている、ドッグハウスの上に寝そべるシュルツさんの自画像にまつわるエピソードは、ぜひ多くの方に読んでいただきたいです。

そういえば、カバーを外したら、あのにこやかな表情がここにも描かれていました♪

パタパタと笑顔で羽ばたくウッドストック。

こんなふうに、まっすぐじゃなくても、小さな羽ばたきでも、自分らしくコツコツと好きなことを積み重ねていけたらいいなと感じました。

読み終えたあと、その余韻でしばらくは、シュルツさんやスヌーピー、ピーナッツ・ギャングのことで心の中がいっぱいに。

大切な人に、そっとプレゼントしたくなります。

子どもから、その昔子どもだったみなさんまで。

ぜひたくさんの方に出会っていただきたい一冊です♪♪

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